一週間の終わり。

やたー、終ったー。あと明日半日頑張れば終る！
世の皆様が3連休なときに俺はどうせ2連休半ですよ。
でもね、そんなの関係ないのさ。もうどうでもいいのさ。だって慣れちゃったんだもん。
今日はテンションがおかしかったです。お昼から低かったこと低かったこと。
あまりに沸点低い時に足ひっかけられたもんだから
「…んなんだよこのクソが！！！」
って、持ってたノート床に思いっきり叩きつけながら思いっきり女の子に向かって叫んじゃった。あっははは。
フェミニスト語ったのどの口だーって感じです。
そういやぁ女の子なのにフェミニストってありなのかな。

「シノって男子と同じ喋り方してるよね。」
そりゃ1人称「俺」で女の子っぽく喋ってなかったら男みたいに聞こえるだろうな。当たり前だよ。てかもう、だから何。

どうしてこうなったかといえば、もう成り行きとしか答えようが無い。俺が俺である事に理由がないように、泣きたくなった事に理由は無い。それでも強いて言えと言われれば、たとえば白い雲が一本通った空を見上げた時や貝殻の音を立てる凪いだ海を見渡した時に無意識に比較してふと感じる自分の汚さが嫌になったと俺は言うだろう。少し温度の低い指先が俺の手の平に触れた。徐々に戻る体の感覚。足の裏のまるくごつごつした感触、水の音、草のにおい。目を開いて思い出した。そうだ、俺は今あの川原に立っている。思い出の場所、過去における俺の運命の分岐点の一つ。
「で、お前は何がしたいんDa。」
「泣きたいんです。」
「じゃあ泣けBa？」
「泣けないから困ってんじゃないっすか。」
衣服の下には俗の塊のような跡を持っているくせに、俺を見上げた顔は太陽に染まってとてもきれいに見えた。おそるおそる（俺としたことがなんてこった）指先を握ると、振り払われるかと思ったが、彼は何もしなかった。握り締めることもしなかった。それはまるで俺たちだと思った。一方的に依存しすぎているのだと、彼に笑われているような気分になった。そんなわけが無いことを理解していてそれでも尚卑屈な方向に走り出す自分の思考に俺は再び泣きたくなったが、不思議と涙は出てこなかった。心と身体が完全に切り離されているようで、今ならロボットの気持ちが分かるような気がした。
結局のところ俺が何をしたいかといえば、自分勝手な懺悔をして自己満足の許しを得たいのだ。そんな自分を汚いと感じる。再び、無理矢理、それでも自然に意識はループする。
「虎鉄さん。」
「…んだYo。」
「俺が泣けるまで一緒にいてください。」
「Ha？」
「虎鉄さんが一緒にいてくれれば、泣ける気がする。」
「馬鹿かお前。」
「馬鹿じゃなくて芭唐ですよ。」
「んなの分かってるってNo。」
彼の手はいとも簡単に俺の手をすり抜けて外に出てしまった。一瞬苦しくなって、でも苦しかったのが一瞬だったのは、彼の手がもっと自然に俺の指の間に入り込んできたからだ。見開いた目に映した彼はこちらを向いていなかった。ぷいとそっぽを向くでもなく、こっちを見上げるでもなく、それでも大げさに溜息をついて、一言。
「泣けるまで、だけだからNa。」
太陽はもう俺たちに飽きたらしく、遠くにかかる橋の向こうに沈もうとしている。綺麗に日に染まっていた彼の肌は本来の色を取り戻し、訪れようとする宵闇に白く透けていた。
俺を許してはいけない、俺は許されてはいけない。この世界でもっとも汚れ穢れた俺を、彼を自分で汚した俺は、決して許されてはいけない。この数年、この数ヶ月、ずっと自分に言い聞かせ教え込ませたはずなのに。俺の中の俺は諦め悪く叫び続ける。一緒にいて！許して！愛して！！
このまま泣けなければずっと一緒にいられるだろうか。そう考えて自嘲に沈みかける俺の感情を、絡めた指に優しく力を込めるだけで彼はいとも簡単に救い上げてみせた。

そして頬に落ちた水滴に、帰りましょうかと俺は言葉を紡ぐ。




＊＊＊
リハビリ失敗。
これだけなのに1時間かかるとは。